主婦が、家事・育児をしながらフリーランスとして働くと、「いくらから確定申告の義務がある?」と思う場面が出てきますよね。
主婦フリーランスの確定申告は、税金や扶養、家計にも直結する重要なポイントです!
ここで曖昧にしてしまうと、後で思わぬ損やペナルティにつながることもありますので、この記事を参考にポイントをしっかり押さえておきましょう。
この記事で分かること
- 主婦フリーランスが確定申告を始めるべき年収ラインと判断基準
- 申告が必要なケース・不要なケースの具体例
- 扶養や配偶者控除、年金への影響
- 節税対策や経費の考え方
- よくある疑問とその解決方法
それでは、主婦フリーランスが安心して働けるためのポイントを順番に見ていきます!
主婦フリーランスは、年収いくらから確定申告が必要?そのラインと判断基準を解説
結論からお伝えすると、年間所得が48万円を超えるかどうかが大きな判断基準になります。
「年収」ではなく「所得(=収入から必要経費を引いた額)」が48万円を超えるかどうかが、ポイント。
- 年間の所得が48万円を超えると確定申告が必要
- 所得とは「売上-経費」
- 扶養や控除の条件も合わせて確認を
ここでは確定申告の義務が発生する基準や、考え方を分かりやすく整理します。
確定申告が必要なラインは48万円から
主婦フリーランスが確定申告をしなければならないラインは「所得48万円」からです。
これは、基礎控除額が48万円であることに基づいており、年間の所得が48万円以内であれば、確定申告の義務はありません。
ですが、以下の場合には注意が必要です。
- 副業などで給与収入がある場合…20万円超で申告義務あり
- 給与所得がない純粋なフリーランス…所得48万円超で義務発生
年間所得48万円とは、税込み?税抜き?
「年収」や「収入」が税込なのか税抜なのかで迷う方も多いですが、原則としてフリーランスの収入は税込で計算します。
例えば、クライアントから10万円(税込)の報酬をもらった場合、それがそのまま収入額となります。
ただし、
- 消費税の課税事業者になっている場合
- インボイス制度の影響を受けているケース
などでは別途考慮が必要になるため、注意しましょう。
経費などは差し引いた金額?
確定申告の「所得」とは「収入から経費を差し引いた金額」です。
例えば、以下のように考えます。
項目 | 金額(例) |
年間売上 | 80万円 |
-経費(パソコン・通信費など) | -35万円 |
=所得 | =45万円 |
このように、所得が48万円以下であれば確定申告の義務はありません。
注意点としては、「経費」として計上できるものとできないものの線引き。
個人の生活費などは経費に含められないため、あくまで仕事に関連する支出を正確に記録しましょう。
次の章では、実際の収入例を用いて、より具体的に確定申告が必要かどうかを見ていきます。
確定申告が必要なフリーランス主婦の収入例
「私の収入程度で確定申告なんて必要ないはず…」と思っている方も多いかもしれませんので、ここではフリーランスの確定申告が必要になる場合の具体例を見ていきましょう!
- 売上だけでは判断できない
- 「経費を引いた後の所得」が重要
- 家事や育児と両立しながらの収入も、対象になる可能性あり
例1:在宅ワークで月収5万円、経費が少ないケース
状況 | ライティングやデザインなどの在宅案件を受注し、月に5万円の売上がある主婦。 |
---|---|
年間売上 | 60万円(5万円 × 12か月) |
経費 | 年間5万円(通信費・文具・ソフト代など) |
所得 | 55万円(60万円 - 5万円) |
→この場合、所得が基礎控除(48万円)を超えるため、確定申告が必要になります。

「扶養の範囲内だから」と油断せず、売上と経費の内訳をしっかり確認しましょう。
例2:年収100万円、経費を多めに使っても申告が必要なケース
状況 | ハンドメイド作品の販売を中心に活動するフリーランス主婦。 |
---|---|
年間売上 | 100万円 |
経費 | 年間45万円(材料費、発送費、販売手数料など) |
所得 | 55万円(100万円 - 45万円) |
→この例では、経費をしっかり計上しても所得が基礎控除48万円を上回っているため、確定申告が必要に。
ハンドメイドや物販のように材料費がかかる仕事でも、売上が大きくなれば確定申告が必要になる可能性があるということ。
イベント出展費や広告費などがかさんだ年は、支出と所得のバランスをしっかり確認することが大切です。
確定申告が不要なケースとは?申告義務がない主婦の条件をチェック
収入が少ない場合や、特定の条件を満たす場合には、主婦フリーランスの確定申告が不要になることがあります。
確定申告が不要だと負担が減って嬉しいですよね。
- そもそも売上自体が48万円以下
- 経費を引くと48万円以下
- 確定申告不要な主婦フリーランスの条件まとめ
- 確定申告不要でも気を付けたい注意点
確定申告不要なフリーランスのケース例を2つご紹介し、確定申告不要な条件のまとめ・注意点を解説します!
例1:売上自体が48万円以下
状況 | ハンドメイド販売で年間売上40万円、経費5万円 |
---|---|
年間売上 | 40万円 |
必要経費 | 5万円 |
所得(売上 − 経費) | 35万円 |
この場合、所得が48万円以下なので、確定申告は不要です。
扶養にも入ったままで問題ありません。
例2:経費を引くと48万円以下になる
状況 | WEBライター業で年間売上60万円、経費15万円 |
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年間売上 | 60万円 |
必要経費 | 15万円 |
所得(売上 − 経費) | 45万円 |
このケースでも、所得が48万円以下なので確定申告の義務はありません。
ただし、住民税の申告が必要な自治体もあるため、市区町村の案内は確認しましょう。
青色申告で特別控除を受けたい場合は、金額にかかわらず申告が必要になりますので注意してください!
確定申告が不要になる主婦フリーランスの条件まとめ
さて、ここまでお伝えした内容をまとめると、以下のような条件をすべて満たせば主婦フリーランスの確定申告が不要となります。
- 所得(売上 - 経費)が48万円以下
- 他に給与や年金などの所得がない
- 青色申告特別控除(55万円 or 65万円)を使っていない
- 配偶者控除・扶養控除の範囲におさまっている
青色申告を選択している場合は、控除を受けるために申告が必要になることもあります。
確定申告が不要でも、気を付けたい注意点
確定申告が不要なケースでも、以下のような落とし穴には注意が必要です。
- 住民税の申告が必要なことがある(自治体ごとに異なる)
- 扶養内でも、所得証明を求められることがある
- 所得が低くても、開業届を出していれば帳簿付けは必須
収入源が複数ある場合は合計額で判断し、「少額だから大丈夫」と油断せず、毎年確認するようにしましょう。
確定申告しないとどうなる?知らないと損するリスクとペナルティ
さて、確定申告が必要/不要なラインはここまででご紹介してきましたが、確定申告をしなかった場合、ペナルティなどはあるのでしょうか?
- 確定申告をしないとどうなるのか
- 損するリスクは
- ペナルティはあるのか
主婦フリーランスが知っておくべき「リスク」と「罰則」は想像以上に深刻です。
知らなかったでは済まされないので、しっかりと確認しておきましょう。
確定申告をしないとどうなる?
確定申告が必要なのに提出を怠ると、税務署からの通知や調査の対象になることがあります。


無申告が長引けば、悪質とみなされるケースもあるため注意が必要です!
特にフリーランスの場合、会社員のように源泉徴収されていないため、税務署側も把握が難しく、調査が突然入ることも。
また、扶養や配偶者控除に影響が出る可能性もあります。
申告を忘れていたからといって許されるものではなく、基本的には「自分で判断し、期限内に申告する」責任があるのです。
損するリスクとは
確定申告をしないことで、単に罰則を受けるだけではなく、本来受け取れるはずだったお金が戻ってこないという損も発生します。
例えば以下のようなケースです。
- 医療費控除やふるさと納税の還付を受けられない
- 青色申告特別控除が適用されない
- 赤字の繰越控除を使えない
これらは、確定申告を正しく行っていれば得られるメリット。
逆に言えば、申告しなければ全て無効です。
フリーランス主婦で少額の収入でも、控除を活かせば結果的に節税につながることもあるため、確定申告は「損をしないための手段」でもあるのです。
確定申告を怠ったペナルティは
確定申告を怠った場合には、次のようなペナルティ(加算税)が科されることがあります。
- 無申告加算税(原則15%)
- 延滞税(年率7.3%または延滞日数による割合)
- 重加算税(最大40%)※意図的な隠蔽と判断された場合
さらに、税務署からの指摘後に支払う場合、一括納付を求められるケースも多く、家計への影響は大きなものになるでしょう。
特に主婦フリーランスは、収入に波がある人も多いため、突然の追徴課税で生活が苦しくなることだってあり得ますよね。



期限内にきちんと申告・納税しておくことで、こうしたリスクはすべて回避できますから、気を付けておきましょう。
扶養・配偶者控除・社会保険への影響は?確定申告との関係をわかりやすく!
確定申告の有無は、配偶者控除に関わってきます。
また、主婦フリーランスにとって、扶養や社会保険の基準も知っておきたい重要なポイントですよね。
- 103万円の壁!確定申告と配偶者控除
- 確定申告と扶養控除
- 130万円の壁。社会保険への影響
主婦フリーランスに大切なこれらの制度について、確定申告と同時に整理しておきましょう。
これらの違いを正しく理解しておくことが大切ですよ!
103万円の壁!確定申告と配偶者控除
対象者 | 納税者と生計を一にする配偶者 |
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控除額 | 納税者本人と、配偶者の所得金額によって、段階的に決定 ※納税者本人の所得が1,000万円以上は、控除の対象外 |
配偶者の所得要件 | ・合計所得金額が48万円以下(給与収入のみの場合は103万円以下) ・配偶者の所得がこの金額を超えても、「配偶者特別控除」が適用される場合あり |
「103万円の壁」という言葉を聞いたことがある方も多いと思います。
これは、確定申告によって年間所得が正確に計算され、「配偶者控除を受けられるかどうか」が決定されるラインのこと。
配偶者控除は、主に夫が会社員で、配偶者(妻)の所得が年間48万円(給与収入のみで言うと約103万円以下)であることが条件です。
ですが、103万円を超えると配偶者控除が0になる訳ではなく、所得金額によって段階的に控除額が決定していきます。
配偶者特別控除って?
配偶者の所得が48万円を超えても、133万円以下であれば、納税者本人の所得に応じて、最大38万円~1万円までの控除を受けられます!
このように、フリーランス主婦が確定申告を行う場合でも「配偶者特別控除」が受けられることがあるのです。
確定申告で経費をしっかり計上しなければ所得が多く見積もられてしまい、控除対象から外れることもあるため、正確な所得の把握が、夫婦双方にとって節税につながりますよ。
確定申告と扶養控除の関係は
扶養控除は、配偶者(妻)以外の扶養親族が対象になっているため、フリーランス主婦ではなくても、そもそも主婦は関係のない控除となります。
控除額については、以下の様に年齢や同居の有無によって変わります。
対象者 | 配偶者以外の扶養親族(子、親、兄弟姉妹など) |
---|---|
控除額 | 扶養親族の年齢や同居の有無などによって控除額が決定 ・16歳以上19歳未満、または23歳以上70歳未満の場合…38万円 ・特定扶養親族(19歳以上23歳未満)の場合…63万円 ・老人扶養親族(70歳以上)の場合…同居の有無で控除額が異なります |
納税者本人の所得制限 | なし |
主に130万円の壁と言われる、社会保険への影響は
最後に気にしておきたいのが、社会保険。
フリーランス主婦の年間収入が130万円以上になって「扶養から外れる」と、年金制度の区分も変わります。
夫の扶養に入っていれば第3号被保険者として保険料を負担せずに年金を受け取れる立場ですが、扶養を外れると「第1号被保険者」となり、国民年金への加入と保険料の支払いが義務となります。(2025年度時点で月額17,210円)
フリーランス主婦が年金を自己負担で支払うことになると、年間の手取り収入が大きく減る可能性があるので、調整できる場合はこのラインを気にしておきましょう。
また、扶養から外れたにも関わらず、知らずに未加入のままでいると、将来の受給額に影響が出るため注意が必要です。
兼業している場合の注意点
年収130万円未満であっても、勤務先の従業員規模や労働時間によっては、社会保険への加入が義務となるケースがあります。(いわゆる「106万円の壁」)
フリーランスにはこの壁は関係ありませんが、パートやアルバイトも兼業している場合は注意が必要ですよ。
節税対策と経費の考え方で、引かれる税金をコントロールしよう
さて確定申告が必要な収入ラインなら、少しでも税負担を軽くする工夫が大切ですよね。
- 主婦フリーランスにできる節税対策は
- 経費にできるものとは
ここでは、主婦フリーランスでも実践できる節税対策と、経費の正しい考え方を解説します!
フリーランス主婦の節税対策
フリーランスにとって、節税の基本は「経費を正しく計上し、課税所得を減らす」こと。
つまり、 売上から必要経費を差し引いた後の利益=所得 に対して税金がかかるため、経費として認められる支出をもれなく記録することが節税につながるのです。
また、以下のような制度を活用するのも有効です。
- 青色申告…最大65万円の控除が受けられ、赤字の繰越も可能
- 小規模企業共済…将来の退職金にもなり、掛金は全額所得控除
- iDeCo(個人型確定拠出年金)…掛金が全額所得控除対象
収入が少ない段階でも、「将来を見据えた節税習慣」を意識しておくと、急な収入増にも柔軟に対応できるので、無理なく取り組める対策から始めてみましょう。
フリーランスが経費にできるものを知って、適切に税金をコントロール
経費とは、仕事をする上で必要な支出のこと。
主婦フリーランスが経費にできるものを理解しておくと、税金の負担を抑えると同時に、確定申告の精度も上がります。
例えば、以下のような費用が経費として認められる可能性があります。
- 自宅の一部を仕事スペースにしている場合の「家賃・光熱費の按分」
- パソコン、プリンター、ソフトウェアなどの「機材購入費」
- 名刺、チラシ制作などの「広告宣伝費」
- 業務に必要な通信費(インターネット・スマホ代)
- 勉強のための書籍代やオンライン講座費用
ただし、「プライベートと業務の区別」を明確にすることが大前提。
正しく経費を活用すれば、結果的に“いくらから税金がかかるのか”のラインを自分で調整することも可能になってきますね。
よくある疑問に答えます!主婦フリーランスの確定申告Q&A
確定申告に関する主婦フリーランスの疑問は尽きないですよね。
最後に、特に多い質問をピックアップし、分かりやすく簡潔に解説します。
- 副業での収入も申告対象?
- メルカリやフリマの売上はどうなる?
- 確定申告って自分でやるしかないの?
副業の場合、いくらから確定申告が必要?
給与所得がある主婦が副業をしている場合、副業による所得(=収入−経費)が20万円を超えると確定申告が必要になります。
ここでいう「所得」は、報酬そのものではなく、必要経費を差し引いた後の利益部分を指す点に注意しましょう。
副業とはいえ、収入が増えたら申告の義務は発生するという意識が大切です。
メルカリなどでも確定申告が必要?
メルカリやフリマアプリでの売上も、一定の条件下では確定申告が必要になります。
申告が必要なケースは以下のようなもの。
- 仕入れて転売している(事業性がある)
- ハンドメイド作品などの制作物を継続して販売している
- 利益が年間20万円を超える副業扱いの場合(給与所得がある人)
「不要になった私物を売っただけ」の場合は原則非課税で、申告不要です。
とはいえ、売上が大きくなると税務署から問い合わせが来ることもあるため、注意が必要です。
フリーランスの確定申告は委託できる?
はい、確定申告は税理士や会計サービスに委託可能です。
帳簿付けや経費計上に不安がある場合、プロに依頼することで以下のメリットがありますよね。
- 節税のアドバイスを受けられる
- ミスや漏れを防げる
- 時間の節約になる
最近は「フリーランス向けの確定申告サポートサービス」も充実しており、オンラインで完結するものも増えています。
費用はかかりますが、時間と安心を得られる選択肢として検討してみる価値はあるでしょう。
主婦フリーランスの確定申告、いくらから必要?ポイントを総まとめ
主婦として家庭を支えながら、フリーランスとしても働く方々のために、「確定申告はいくらから義務?」「確定申告と控除の関係は?」といった疑問解消のヒントを、ひとずつ解説してきました。
今回の記事の重要ポイントを整理すると…
今回のまとめ
- 主婦フリーランスの確定申告は、所得が48万円以上で必要
- 必要なラインは「収入」ではなく、「経費を差し引いた所得」で判断する
- 副業であっても、所得が20万円以上で申告が必要
- 配偶者控除103万円・社会保険130万円の壁を意識すると◎
- 申告を怠ると延滞税や無申告加算税などのペナルティのリスクも
- 経費や節税対策を意識すれば、手取りを最大化できる
- 分からない場合は、プロに委託するのも安心な選択肢
主婦フリーランスの確定申告がいくらから必要なのかは、単なる金額の話ではなく、制度理解とライフプランに関わる重要なテーマです。
少しずつ学び、早めに備えることで、安心してフリーランスとしての一歩を踏み出していきましょう。